昭和27年03月27日 衆議院 外務委員会

[079]
賠償庁長官 岡崎勝男
これはここにも特に昭和20年9月と書いてあります。それ以前に日本に在留した人は、平穏に在留した者であるか、あるいは日本の国民としてここにおった者か、どちらかなんですから、まず一応善良なる居留民と考えますからして、ここに特例を設けて資格がなくてもある期間はおられる、こう書いておるわけであります。

ただおそらく石原次官なんかもそう考えてお話したのじゃないかと思いますが、率直に申しますと、終戦以来むろん全部じゃありませんが、一部の朝鮮の人々は、その地位が外国人であるか、日本人であるか、あいまいでもあったし、また日本政府の朝鮮人等に対する取扱いが非常にはっきりしなかったものでありますから、いろいろの法律をくぐったような行為をいたした事実もたくさんあるのであります。ことに密造部落なんというものは非常にたくさんありました。また国内の治安を乱すような北鮮系、南鮮系の間の争いなども、ずいぶん殺傷事件などを起しておったわけであります。

これは大分緩和して直って来ましたが、今まではそういうことがあったことは事実であります。今後外国居留民として日本におる限りは、日本の法はどうしても守らなければならない。外国人であるがゆえに、かって気ままなことをすることは、これは許されないことであります。この点を私は明らかにいたしておきたいと存じます。そういう特にはなはだしい不法な行為をする者は、これは送還するのもやむを得ない。

が、善良にただ日本にずっと無事に暮しておって、ここに家族もおり、商売の足がかりもある。こういうものが急に朝鮮に送り返されたりしたところで、向うでも困るのであります。従って善良なる居留民に対しては、できるだけの保護を与えたい、それが一つの趣旨であります。その点は法を乱すようなことさえなければ、何も心配することはない、こう私は申し上げられると思います。