昭和29年11月25日 参議院 厚生委員会

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参考人(警視総監) 江口見登留
只今資料を持って参ったのでございますが、お手許にお配り済みでございましょうか……。それによりまして御説明申上げたいと思いますが。

警視庁管内におきましての覚せい剤取締の強化は、10月以来行なっておるのでございます。その取締の実績に応じまして、更に11月10日には特別の取締本部を庁内に設けまして、更に一層この取締を推進いたしますると共に、従来のように花火線香的と申しますか、期間を限って取締をやるということではなくて、相当の徹底的な効果が認められるまでは、警察庁の御方針もありまして、徹底的にこの問題をやる所存でございます。

数字を、今まで取締って参りました結果に基いての数字を、一応簡単に御説明申上げますると、最初の紙に「覚せい剤違反調」とございまして、これが1月から10月までの分についての数字をそこに挙げてございますが、検挙人員のうち、いわゆるヒロポンの密造に従事しておりました者、それは国籍別で見ますると、上の欄の左の端にありますように、日本人では男女合せて104人、朝鮮人がその倍以上の227人となっております。それから所持、使用等につきましては、今度は逆に、日本人がやはり使用する者が多いという関係で、7812人、それから朝鮮人が1000人、中国人が18人、その他が1人。その次に合計が出ておりますが、そういう数字になっております。

更に検挙いたしましたもののうち、件数で見ますると、製造、所持その他を合せまして8824、人員が9162でございます。そのうち送致いたしましたものが、件数として8703件、人員におきまして9039人と、こうなっております。それからその隣りに押収物の、押収物資の数量を挙げております。これは製造の部におきまして、注射液としまして97万6573CC、それから原末としまして5176グラム。所持その他におきましては、注射液として134万9618CC、原末として1132グラム。計がその次に出ておりますが、そういう数字になっておるのであります。

それからその次の紙、順序が同一かどうか存じませんが、「覚せい剤取締強化後の違反検挙状況」というのがございますが、これは10月1日から11月10日までの分を集計したものでございます。この間における検挙総件数は3740件、人員としましては3885名になっております。先ほど申上げた1月から10月までの数字と比較いたしまして、この問どれほど強化して行なったかということが、この数字の面でも現れておると思うのでございます。その間における国籍別を見ますると、日本人が3266人、朝鮮人が611人、その他8人。違反種別で申しますと、製造件数91、人員にして175。密売ブローカー1124、人員にして1175、所持使用等の件数で2525、人員2535。検挙別とこういう別に分けてみますと、現行犯で2764、通常逮捕778、緊急逮捕17、任意出頭と申しますかが326ということになっております。職業別で見ますと、無職というのが一番多いのでありまして、2009人。無職と申します中には、いわゆる渡世人とか、何と申しますか、不良、やくざ、そういうものが多いことになるわけでございます。バタ屋が670、以下職業別によってそこに数字が出してございます。それから身柄送検が2874、書類で送検しましたものが1011でございます。それから次に押収物資の数量を、注射液と原末に分けて、この期間における分を掲げてあります。

それからその次に「覚せい剤密造者、国籍、性別調」というのがございますが、これは昨年の分でございます。これによりますると、日本人が人員において、男子が42、女子が24、合計66。朝鮮人の欄、その他中国人の欄がございます。パーセンテージを出してみますと、日本人が27.3%に対しまして朝鮮人が71.9%、過半数以上を占めておることになります。中国人が0.8%になっております。

その次には「覚せい剤違反者、判決結果調」というのが出ておりますが、これは御説明を省略いたしますが、最後の表に「覚せい剤取締法違反被疑者検挙処分結果中の一部」というのを御参考にお出ししてございますが、これは一番上に罪名が書いてあります。その次に被疑者の名前が書いてありまして、その次には、27年、28年、どうしても事件の結末が長引きますので、27年頃のものがここに掲げられておりますので、東京の分、静岡の分がございますが、処分の結果を見ますと、初めが懲役8カ月で3年間の執行猶予がついております。執行猶予のついたものとつかないものと大体半分くらいでございますが、1年以上というのは非常に少い上に、執行猶予がついておりまするので、国外追放ということにも触れないことになるわけでございまして、我々としましては折角法律も改正して頂いたのでありまするから、この取締りに即応して、もう少し重刑を科して頂きたいと思っておりまするが、いろいろ検察庁の話もありまして、現在のところはこういうような調べになっておる次第であります。

それから取締りを強化いたしました後、現在までの傾向といたしまして、どういう面が現われて参ったかということについて申上げますると、幸いに輿論の支持を得まして、報道機関も非常に応援して頂いておりますので、覚せい剤が非常にみじめな災害を引き起すということが非常に各方面に徹底して参ったように存じます。従いまして、本人のみならず、家族の意見もありまして、大体我々の見通しとしましても、常用者は漸次減少しつつあるように見受けられるのでありますが、取締りを厳重にいたしまする結果は、今度は模造品の製密造がぼつぼつ出始めております。それから又ブローカーが非常に巧妙になりまして、一つのところで大仕掛けで工場みたいにして造るということをやめまして、簡易携帯用具によって製造するというようなものが殖えて参りまして、それらが転々と居所を変えては密造をやっておる、又密売をやっておるという事例が現われておりまして、中にはピストン型と称しまして、非常に高能率の製造方法を持った器具さえ現われておるような次第でございます。

それから先般いわゆる上野の親善マーケットに対しまして、朝鮮人が300名くらい集団生活をしておりますが、そこに多数の警察官を入れて検挙いたしましたのでありますが、その際の様子を見ましても、その集団部落が自衛組織化されておりまして、なかなか少数の警察官では妨害されて検挙しにくい。このとき600人かの警察官が動員されたのでありますが、そういう警備方面からも十分の態勢を整えてからでないと、そういう集団地域においての検挙は非常にむずかしくなっておるということが、見受けられるのであります。

それからこういう事件は、物と人との結びつきによって事件となるのでございまするが、物を押えましても、結局誰のものかわからない。つまり共同便所とか、共同炊事場、そういうようなところで密造とか取引をやっておるのでありまして、品物を押えたが、責任者がない、逃げてわからない。お互いに通報し合って逃げておるというようなことで、結局事件にすることができないというような傾向も現われて来ております。

それから土間のコンクリートのたたきを壊しまして、その下に大きな甕に液を入れて埋めておるというようなこともあります上、羽目板と壁との間に隠しておる、たんすの下に隠しておる、底のほうですね。畳に接するところ、あそこに隠しておる。いろいろの例が現われておりますし、なお最近ではアンプルに入れて売るということでは非常に危険視されると見ましたせいか、薬瓶や、化粧品の空瓶に入れるとか、或いはサイダー瓶、牛乳瓶、酒の一升瓶なんかに入れて、わからないようにして原液を持ち歩くような事態が現われて来ております。それから婦人を利用することが多いのですが、胴巻やら、婦人の二重ズロースに隠している。或いは児童の、子供のランドセルに入れて運ぶ。或いは乳呑児を背負って、おむつの中に入れて運ぶとか、そういうようないろんな工夫をこらした方法がとられておるのでございます。これらの点を十分に念頭におきまして、この取締りを十分強化して参りたいと思つております。

別に御質問がございますれば、更にお答えさして頂いて、一応この程度で御説明を終りたいと思います。