昭和29年05月28日 衆議院 厚生委員会

[017]
日本社会党(社会民主党) 岡良一
法律案のいろいろ衝に当られた参議院の法制局からもお見えでございますので、この点ひとつ法律的な、立法技術の面としてできないものなのかどうかという点でお伺いいたしたい。いま一つは、やはりそこまで立ち入ってひとつやっていただかなければ、この法律がほんとうに処罰規定の強化を意図するものが空転するのじゃないかと思う。

これはこの間もこの委員会で、法務省関係の刑事部長のお話なんですが、ヒロポン慢性中毒者にして犯罪を犯して検挙された者が昭和26年には1万1000余である。昭和27年には2万3000余である。昭和28年には4万3000余である。そのうち起訴された者が大体3分の1である。また覚せい剤取締法の違反者が6500である。そのうち有罪の判決を受けた者が1200であるが、そのうち800が執行猶予である。まことに罰則規定はこれを見てもきわめて低調であったことがよくわかるわけである。そこで御努力によって強化され、かつまた法廷も覚醒剤に対する認識を改めてくれるということによって、こういう手ぬるい処置は大いに直してくれると思うのです。しかし昭和26年にヒロポンの中毒患者にして犯罪を犯して検挙された者が1万1000余である。昭和28年には4万3000余であるというふうに、3年で3倍以上にふえておる。

こういうふえておるものに対して、たまたま日本の検察力が、密造だと目される部落を急襲いたしましても、そこにあげられて来るものは、2000数百本のアンプルにすぎない。アンプルの中に入っている薬を溶かす原料の薬を合成しているところまでは、徹底的に手が入っておらない。1、2入ったところがあるというお話ですが、ここはやはり日本の法律で断固として追究して、そこに非違があった場合には、何人であろうと、外国人であるならば当然強制送還の措置を講ずるというところまで強く行かなければ、結局1万1000から4万3000にふえて来るというこの事実は、事実の問題として検挙され、起訴され、執行猶予され、起訴の数がふえて来るとか、あるいはまた執行猶予が減るとかいうものだけであるが、事実上で1万1000が4万3000にふえておるというこの大きな趨勢の根本のきめ手が、やはりアンプレヤーでなく、その以前の、朝鮮人が70%を占めているこの原薬というか、溶かす原料を合成しておるところにメスを入れる、これがないとどうも物足らないという感じがするわけです。その点どうなんですか。これは参議院の法制局の方でもけっこうですが、お答えを願いたいと思います。

[018]
参議院法制局参事(第一部第一課長) 中原武夫
ただいまの強制退去の問題で、高野先生がおっしゃいましたのは、参議院として断念したというふうにはおっしゃったたのではなくて、もう少し見送って、時期を待つという含みをもっておっしゃったわけであります。と申しますのは、覚せい剤取締法の中に違反外国人は強制退去を命ずるという規定を入れることは、これは可能であります。ただ体系から申しまして、外国人に強制退去を命ずることは出入国管理令の中に規定されております。それで出入国管理令の中に覚せい剤取締法に違反した者は強制退去を命ずるという規定を入れることの方が妥当であります。ところが出入国管理令の中に規定されております強制退去を命ずる事由になっております事項は、いずれも国際慣行上どの国もそういうようにしようという了解のある事項が掲げられております。このことは、日本の方から強制退去を命じましても、相手国が受入れませんと、これはどうにもしかたがないことであります。現在韓国人は、1年以上の刑に処せられた者は強制退去を命ずることができるという出入国管理令の規定に基いて強制送還をいたしましても、ほとんど引取らないのです。そのために大牟田の収容所にたくさんとめてあるわけです。そのことは、現在韓国は、国際慣行上相互に了解した事由による強制退去の命令を受けた者も引取らない。国際慣行からいって日本だけの理由で、外国は承認しておらないような事由で強制退去を命ずるという規定を置いても、現在のような韓国の態度からいえば、ますます引取らないだろう。それでは実効が上りませんので、少くともそういう事前の了解を得られるだけの時間的余裕をいただきたい。それまでは、ただいま高野先生がおっしゃいましたように、罰則の強化によりまして、今後1年以上の刑を受ける者が多くなるであろうから、それに該当するものとして措置をして行くことにして行ったらどうでしょうか、そういう意見がありまして、その意見を了承されて、参議院ではそれでは一応見送って行こうということになったのでございます。



[025]
自由党(自由民主党) 松永佛骨
そこで、大阪にあったことなんですが、朝鮮人が密集して住居をしておりまする周辺の――もちろんこれは正規の免許医師でなくして、もぐり医者であると思いますが、病人が腹痛を訴えておると、モヒの注射をして一ぺんになおす。支那では麻薬というものは神の薬である、腹痛だろうが何だろうが、どんな重病でも一ペんにこれをやるとなおるという神秘的なひとつの信仰を持っておるようですが、これは医学的無知な者から見ればそういうことになりましようが、故意にヒロポン中毒患者を医者がこしらえて、そうしてこれを蔓延さしておるという傾向があります。もちろんもぐり医者です。正規の免状があれば取上げられるのですが、こういう大阪の者が朝鮮人密集部落で2、3発見された例もございます。